さて、フランス・パリ。1年半前、イギリスに半年もいたのに、受験生の身を慎んで旅行しなかったぶん、今年は晴れて参上。折しも仏では、先週末の国民投票でEU憲法を否決し、続いて首相の交代劇が繰り広げられている。ホテルのBBCでは、繰り返しパリからの中継を流していた。
初日は、市内を散策。半袖では少し肌寒いくらいだが、日差しは強い。ルーブル広場に一歩足を踏み入れ、皆がパリに憧れる理由がやっと初めてわかった。自由と美か。白い砂地に反射する日差しが眩しい。広場の空気は、生き生きとしている。

in Paris

in Paris

in Paris
学生の頃、周囲がパリやNYに旅行に向かう中、私はアジア・アフリカに魅せられて、一人でバックパックを背負って歩き回っていた。あの頃、もしこっちを選んでいたら、全く違う人生を歩んでいたにちがいない。
凱旋門に向かうシャンゼリゼ通り。ラオスの首都ビエンチャンにも、これに真似た凱旋門と大通りがある。 船が行きかうセーヌ河。アフリカのパリと呼ばれるコートジボアール(象牙海岸)のアビジャンでも、象牙ホテルから、ラグーンに反射する美しい夜景が当時は広がっていた。
長い間、世間知らずの私にとって、仏とは、「アフリカに『象牙の奇跡』をもたらした国」だった。ガーナにいた頃、近隣の旧仏領西アフリカ諸国を旅行して、驚いた。食事がおいしい。パンがおいしい。旧英領となんと違うことか。特に、当時「象牙の奇跡」と称えられていたアビジャンの都会さには、言葉が見つからなかった。
これが、アフリカ? 近代高層ビルにハイウェイ、カフェにショーウィンドー、エスカレーターと自動ドア、スーパーマーケットに並ぶイチゴやレタス。欧米のビジネスマン、ベトナム・ラオス・カンボジアからのインドシナ移民が混在する、多国籍都市アビジャン。そして地方には延々と続く畑作地帯。これが、「アフリカのパリ」か。これがかの「象牙の奇跡」か。

Abidjan, Cote d'Ivoire (from Google)

Plateau, Abidjan, Cote d'Ivoire (from Google)

Plateau, Abidjan, Cote d'Ivoire (from Google)

Abidjan, Cote d'Ivoire (from Google)
それに比べ、車で数時間のお隣ガーナには、当時どこを探したってエスカレーターなどない。第一、停電で3日に半日しか電気がこない。畑作地帯なんてない。水も、大学の寮では一日バケツ2杯で生活するときもしょっちゅう。それがアフリカだと思っていた。あまりの差に愕然とした。
しかし、アビジャンの湖畔に広がる美しい夜景の隣には、全く明かりのない地帯が黒々と広がっていた。スラムである。異常な貧富の差というのは、このようにビジュアル化されるのか、と思った。生涯忘れられない夜景だった。街灯さえない。タクシーらしき車のテールランプがちょろちょろと動くのみ。しかも、テールランプの明かりもふたつではない、ひとつだ。壊れたまま走ってるから。そのアビジャンもその後、政変で荒れはてた。悲しかったが、当然の帰結だったのかもしれない。象牙の奇跡は終わり、フランスとはどんな国だろう、という念は、その後長年続いた。
…まずはとりあえず鳥瞰してみよう、ということで、エッフェル塔へ。

from the Eiffel Tower

from La Seine

in Paris
塔に昇る待ち時間のあいだ、ふと東京タワーを思い出した。なんとかと煙は高いところがお好きと言うけれども、中学・高校の頃、私は友人と一緒によく東京タワーに昇った。悩んでいると、彼女が連れ出してくれた。ちょうど今日のように、午後遅くに東京タワーに行き、夕暮れ時から明かりがぽつぽつとともって、夜景へと移りゆく東京を眺めながら、何時間も二人で語り合った。あの頃は、小さな学校社会を抜けて、早く大人になりたかった。もっと、広い世界を見てみたかった。...
... よかった、ここの夜景には、スラムはない。巴里を眺めて、ふと気付く。有難いことに、その夢だけは叶ったよう。アフリカ、アジア、欧米、中東もちょっと。この十年、いろんな世界をかいま見てきた。一方の彼女はその後哲学科へ進み、今では研究の道を歩んでいる。彼女は内の世界へ、私は外の世界へ。お互い道は違えど、いまだそれぞれの探索は尽きていない。私たちに、辿り着く場所は、あるのかしら。
その頃は、節約も兼ね、サンドイッチを買ってきて近くの植木の脇に腰掛けて、東京タワーに明かりが点く瞬間を二人で待ったりした。本当は夜景よりも、下から美しいタワーを眺めるほうが、好きだった。大学に入ってからも、もやもやしていることがあると、よく夜中に一人で東京タワーまでドライブし、タワーを眺めながら気が済むまで考え事をして、帰った。いっぺんに夜景と東京タワーと両方見られると一番いいのになー、と思っていたら、六本木ヒルズができたので、帰国後さっそく行ってみた。いい。いうことなし。悩みなど、すっとぶ。私ってなんて安上がり。
でも、ここまで書いて、はたと気付いた。そーいえば中学の頃から、いつかいつかと思いながら、いまだに一度も恋人とタワーに昇ったことがない。その夢だけは叶ってない。しまった。ぶひーん。また悩みが…。えー、明日もエッフェルに昇りにいかなくては…。えーと、そーいえば、フランスとアフリカの関係というのは…。えー…。
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from the Seine River

from the Seine River

at Musee du Louvre

at Musee du Louvre

at the Chateau de Versailles

at the Chateau de Versailles
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