


5 月5日に東ティモールに関する国連安全保障理事会公開協議が開かれたので、傍聴してきました。当日は、先の3月に東ティモールを訪れた女優の藤原紀香さん が、国連本部内で写真展を開いていらっしゃいました。秋にももっと大きな写真展が開催されるようです。下記に、国連フォーラムに投稿した傍聴報告を転載し ます。(今回、5月5日の安保理協議の詳細についてはプレス・リリースを、UN News からも、短くまとまった記事が出ていますので、ご関心のある方は、そちらもご参照ください。また、先日の暴動については、BBCの記事と写真を参照ください。)(上記写真は、1月の安保理協議の際のもの。)
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今 回の安保理協議では、現行の国連ミッション・国連東ティモール事務所(UNOTIL)の期限が切れる5月20日を前に開かれました。しかし、先々週に突 如、首都ディリで起きた暴動を受けて、安保理協議も当初の予定とは異なる展開となりました。 事務総長報告が提出された4月20日の時点では、長谷川特別代表(SRSG)からUNOTIL mandates履行の最終報告と、新しく、規模を大幅にダウンサイズした "integrated UN Office" 設立の検討が、今回の安保理で為される予定でした。しかし5月5日当日は、先の暴動を受け、国連ミッションの exit strategy の再検討が協議されました。
今回注目されたのは、以下の3つのポイントです。
1)暴動の経緯(長谷川国連代表と、ラモス・ホルタ東ティ外相の報告)
2)今後の対応(主要ドナー、日・ポ・豪と、P5、米・仏・英などの発言)
3)Root causes(長谷川代表の返答)
代 表の報告によると、先々週の4月下旬に東ティモールの首都ディリで起きた暴動では、少なくとも5人が死亡、60人以上が投石や発砲で怪我をし、1万人以上 が首都中心街から山へ避難する事態となりました。暴動に至った直接の経緯については、3月中旬に軍を解雇された約600人の元兵士が、解雇理由の開示と独 立調査を求めて、4日間、平和的デモを実施したことが発端。しかしその後、状況に乗じた「元兵士以外の」若者や政治分子が、政府庁舎を攻撃しはじめ、暴力 に発展。東ティ警察は暴動を取り締まることができずに軍が出動し、今回の事態に至った、との報告がなされました。
このような暴動が東ティ モールで起きたのは4年ぶりで、2002年5月の国家独立から半年後に、デモに参加した学生2人が亡くなる騒ぎがあって以来になります。新国家・東ティ モールでは、独立後も、国連をはじめとする国際社会に、その生まれたてで脆弱な民主主義を支えられながら、順調に平和への道を歩んでいたところでした。独 立後は、UNOTILやUNMISET、国連諸機関や国際社会の支援を通じ、行政・司法分野における組織・制度構築や人材育成、元独立兵士や避難民のコ ミュニティ再統合、保健衛生や教育の分野で、目覚しい努力を果たし、荒廃から立ち直ってきた矢先でした。国連の規模も少しずつ縮小し、「平和構築の成功 例」と称されていただけに、突然の事態の転換について、衝撃を受ける方も少なくないと思います。
「紛争を経験した社会の半数以上が、5年 以内に再び紛争状態に戻りやすい」というテーゼを裏書きするかのごとく、東ティモールでも今回の事態が起きました。国家独立に至るまでに多くの犠牲を払 い、暴力を経験してきた、トラウマを抱える東ティモールにとって、完全に平和が定着するまでの道のりは、まだまだ長いようです。ラモス・ホルタ外相はその 報告の中で、"Dili was on the edge; fear was palpable among people already traumatized from past violence"と述べているとおり、東ティモールは、現在、岐路に立たされています。
続 く安保理理事国の発言では、ボルトン大使も姿を見せた米国が、「現UNOTILを1ヶ月延長し、現地の事態が沈静した後、安保理で状況判断する」と提言。 一方、仏・英が今回の事態を重く見ているのに対し、主要ドナーである日・豪は、「平和構築の一過程」と、比較的慎重な姿勢を見せていたのが、印象的でし た。また、旧宗主国のポルトガルは、故セルジオ・デメロの過去の功績と、近い将来入ってくる石油収入にも触れ、東ティモールの事例が国連の絶対的な役割と してこれまでメディアやアカデミアで引用されてきた中、国連は、今後も世界で最も新しい国の"fragile democracy"を支え、平和を定着させていくべきであると、まとめています。
理事国の発言が一巡した後、 最後に、長谷川代表がアルゼンティンのコメントに答える形で、今回の暴動のroot causesについて下記の3つ挙げ、5日の協議が終了しました。
i) institutional incapability to address grievances, due to lack of viable policies regarding human resources management, mostly in the armed forces;
ii) poverty and unemployment, particularly among the youth, who had nothing, nothing to lose; and
iii) the mindset of certain interest groups with a propensity to resort to violence and incite the population for the purpose of increasing their political influence.
今後の対応策として、1)人事政策を含む、組織管理能力の強化(特に軍)、2)若者の失業対 策、3)暴力手段に対応する警察能力の強化と教育、などが考えられます。いずれにせよ、荒廃から始まった国造りの支援と平和の定着には、長期的計画とコ ミットメントが必要のようです。 5月20日のUNOTIL mandates期限終了を前に、今後、決議採択の行方が注視されるところです。
尚、 余談になりますが、今回の安保理協議開催に合わせて、去る3月に東ティモールを訪れた女優の藤原紀香さんが、国連本部内で写真展を開いていらっしゃいまし た。( メディアでも報道されています。) お仕事のお忙しい合間を縫って、安保理傍聴席にも訪れ、真摯に協議に耳を傾けていた姿が印象的でした。
最後に、簡潔で印象深かった、シンガポールの発言を引用します。
"This is about commitment," he said, adding: "We should not jeopardize what we have achieved so far in Timor-Leste." The phrase "penny wise, pound foolish" had come to mind, especially given statistics showing how easily societies that had experienced civil strife could return to those situations. Everyone spoke about successful peacebuilding. This was an opportunity for the international community to remain involved and help ensure continued success."
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