Friday, February 3, 2006

55. Afghan Refugee, Ali Jan


早 く読んでみたいといったら、Dがわざわざ日本から取り寄せてくれた。彼女ら弁護団やJICAの皆さんが支援してきたアフガン難民、アリ・ジャン君の手記。 Dは校閲としてこの本に関わっているほか、お話の中にもたびたび登場人物として触れられている。お話に出てくるMさんは、SIPA卒で、現在は UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)東京事務所で働いていらっしゃるよう。SIPA生、Oin生は、必読です。難民が日本で直面した現実の重さに、涙 なしには読めませぬ。

母国アフガニスタンでタリバン政権におびやかされ、パキスタンで会ったブローカーに日本の成田空港で騙され、行き場 を失った asylum seekers。収容所の独房で難民認定を待つアフガン難民約30人のうち、強制送還に怯えた半数以上が19件の自殺未遂を起こす。2001年~2002 年の日本国内の話だそうです。

ちなみに、本の帯には、表に島田紳助の「この国はたった1人の青年さえ救えないのか?」のキャッチ・コ ピー。裏には、アフガン支援の政府代表も務めた、前UNHCR代表・現JICA理事長の緒方貞子氏からの言葉。「私はアフガニスタンから日本へ保護を求め て来日する人々の扱いにつき、常々矛盾を感じていました。出入国管理のあり方についても、もっと個人の人間性の尊重にもとづいた対応が必要だと考え、申し 入れをしたこともありました。」

で、この本が出版されてしばらく後の2004年5月に、出入国管理及び難民認定法が初めて改正される。また昨年11月、東京地裁で行われたアリジャン君の難民認定を求める裁判は、Dら弁護団が勝訴した。しかし、その後法務省が控訴しているので、その後最高裁に行く可能性がある。

最近、移民議論が盛んである。大学院の必修の授業でも、最終試験のケースとして、移民政策がとりあげられた。世銀は、移民が母国(途上国)に送金する資金がこの10年で倍増し、全世界で1500億ドルを超えて、援助資金を上回ったと試算する(詳細)。そ の一方で、先日はUNDPのある方が日本の経験を引用し、その国が発展するかどうかは中間層の愛国心が鍵である、移民政策を推進するのは発展にとって逆効 果かもしれないとも、おっしゃっていた。移民鎖国の日本でも、フィリピンなどからの介護福祉士や看護士の受け入れが試み始められたところのようだが、ごく 一部の話である。

そのような背景からか、日本の難民政策についての話になると、よく移民政策が引き合いに出される。が、問題が全く異なるような気がしてならない。政治的迫害を怖れて逃れてきたasylum seekers, 難民の認定は、経済移民とは問題が根本的に異なる。母国で迫害を受けるおそれのある難民を強制送還するのは、難民条約に違反し(注1)、ノン・ルフールマンの原則にも反する(注2)。アリジャン君の難民認定に関する、上記最高裁の行方が、気になる。

SIPA の皆さん、特にお国のために働いていらっしゃるみなさま、もしよかったら読んでみてください。僕には関係ないかしら? わかってはいるけれど…。学生の一 部で、本を出版する話もあるようですし。SIPA卒業生やNYUの学生が関わった本として、ご参考までに是非。SIPAで学んだことの一助として読んでく だったら、幸いです。そして、できたら社会を動かすこんな本にしてくらさい。一声かけてくだされば、お貸しします。

我らがOinsの皆さん、既にご存知とは思いますが、Dちゃんが深く関わった本です。私は今頃になって、読みました…。彼女からは、刺激をたくさん、戴いてます。ところで、後輩の菊川玲も難民支援をしてるよう。


(注1)難民の地位に関する1951年の条約 

第31条【避難国に不法にいる難民】
1   締約国は、その生命または自由が第1条の意味において脅威にさらされていた領域から直接来た難民であって許可なく当該締約国の領域に入国しまたは許可なく 当該締約国の領域内にいるものに対し、不法に入国しまたは不法にいることを理由として刑罰を科してはならない。ただし、当該難民が遅滞なく当局に出頭し、 かつ、不法に入国しまたは不法にいることの相当な理由を示すことを条件とする。

2  締約国は、1の規定に該当する難民の移動に対し、必要な制限以外の制限を課してはならず、また、この制限は、当該難民の当該締約国における滞在が合法的な ものとなるまでの間または当該難民が他の国への入国許可を得るまでの間に限って課することができる。締約国は、1の規定に該当する難民に対し、他の国への 入国許可を得るために妥当と認められる期間の猶予及びこのために必要なすべての便宜を与える。

第33条【追放及び送還の禁止】
1  締約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見のためにその生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放しまたは送還してはならない。


(注2)第81号(XLVIII) -1997- 国際的保護に関する一般的結論
i  【ノン・ルフールマンの原則】 の基本的重要性を認識する。同原則は、難民としての地位が正式に与えられているか否かに関わらず、人種、宗教、国籍、特 定の社会的集団の構成員であることもしくは政治的意見を理由にその人の生命および自由が脅かされる恐れがある領域の境界へいかなる方法によっても当該者を 追放しもしくは送還することを禁じ、または1984年の拷問等禁止条約に定める拷問を受ける恐れがあると信ずるに足る実質的な理由がある人をそのような危 険のある領域の境界線へいかなる方法であろうと追放もしくは送還することを禁ずるものである。

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