今日は、PoPのCase Writingのため、国連安保理改革G4案について、主に米国の立場と見方を中心に、エドワード・ラック教授をインタビューした。気づいたら、2時間。とても興味深いお話だったので、記録も兼ねて。
E.L.教授は、SIPAのCenter on International OrganizationとUN Studies ProgramのDirector。今学期のInternational Enforcement and UN Security Councilのほか、Ameican Exceptionalism などの授業を、SIPAで教えている。もともとは、米のUN Association代 表を10年程務める。96年以降、ラザリ国連総会議長(当時)が提出しようとした安保理改革案の策定に関わって以来、現在も国連改革に中心的に携わる。先 学期は、Kofi Annan事務総長、Mark Malloch Brown (元UNDP総裁・現Chief de Cabinet in UN Secretariat)、Ann-Marie Slaughtor(Dean of Princeton, Woodrow Wilson)、George Mitchell元上院議員を、コロンビア大学に招いた国連改革討論会のホスト役を務めた。(過去の日記でも少しだけ触れました。)昨年4月には、米国連大使をSIPAに招いた講演会も主催。(こちらも。)Democratsで、ケリー民主党元大統領候補のアドバイザーなども務めたとのこと。今回のインタビューでも相変わらず、安保理改革について、現事務総長に対して、米人らしいシニカルで辛口なコメントを戴いた。
■米国の立場
ま ず、G4案については、ワシントンの誰に聞いても("Every Single Person I asked about it"と何度か強調して)「poorly timed, bad proposal」だと言われていた。日本の立場には皆同情的ではあるが、G4案については誰もサポートしていなかった。米ワシントンは、安保理改革その もについてでさえ、理事会のligitimacyの欠如と不平等性を認め、改革の必要性も認めるが、積極的に改革を推し進めるべきだとは思っていない。当 然、安保理の拡大の意図が、現在の米一国主義・覇権主義に対抗する、regional representativeとmulti-polarの強化なのであれば、米が本音で賛成するわけがない。安保理は、現在、歴史上、最もうまく機能して いる。拡大すれば、機能性が落ちる。ECOSOCなどは、拡大しすぎて、全く機能的していない。どんなに安保理を改革することになるとしても、米国が賛成 できるのは、20-21カ国までの拡大まで。ただでさえ批判の多い拒否権を、新メンバーにまで拡大させるというAUの提案は、非現実的である。
■G4について
味 方を作れば、その分、敵を作る。G4に反対するCoffee Clubには、アルゼンチン、パキスタン、イタリアを初め、カナダ、メキシコなど、多くの国が参加している。G4メンバーについては、第一に、ブラジル; 日本とは日系移民などで関係が深いというのもわかるが、他のラテン・アメリカとは、言葉も異なり、利益を代表していないため、地域からのサポートは決し て得られない。インドについては、パキスタンが反対するのは、自明である。また、日本と同時にアジアから二大ライバル国の常任理事国を出すことについて、 中国が賛成するわけがない。ドイツについては、米英イラク攻撃を支持しなかった怨念があり、米国は決して支持しない。第一、2003-2004年にドイツ が非常任理事国だった間は、彼らは何も目立った活躍をしなかった。フリー・ライダーの最も典型的な例である。(と、辛口。)
■日本について
米 国も私も、日本の常任入りについては、一貫して同情的であり支持をしている。昨年の12月に、訪日する機会があり、国連改革についての公演を各地で行っ た。(日本の好きな日米同盟の議論とかね、と一言。)が、常任入り作戦は、"operation by gaimu-sho"で、国民の総意ではない。小泉氏でさえ、片方で常任入りしたいと言い、片方で靖国へ行き、左と右が混在して矛盾している。本気で常任 入りの戦略があるようには見えない。中国との問題を解消するにしても、日本はどれだけ本気で常任入りしたいのか、そのためにはどこまで何を譲り諦められる のか、今後本気で考えたほうがいい。2003年秋のG4結成時点で、中国が強く反発していたことを、甘く見ていた。敵国条項の削除についてでさえ、いまだ に中国は反対している。過去の戦争の罪を忘れず、世界が平和でありつづけるために、今後もずっと残しておくべきだと主張しているくらいだ。国連改革は時間 がかかる。私が90年代からずっと提案してきた、副事務総長がマネジメントの実権をもつという改革案でさえ、実現に10年以上もかかっている。そんな国連 なので、敵国条項の削除については、とてつもない時間がかかるだろう。
■拒否権と大国主義について
拒否権についてさまざまな批判 があるのは理解するが、冷戦時代は、確実に、拒否権なしで乗り切ることは不可能だった。そもそも、現在の改革案の根底にある、「大国」が常任理事国になり 拒否権をもつべきだという考えがおかしい。P5(現在の常任理事国5カ国)は、1945年当時の「大国」ではない、「同盟」である。当時、中国は defeated powerであり、フランスはoccupied powerだった。最近、小諸島諸国連盟の 代表と話したが、43カ国の連盟である彼らは安保理改革については、驚くほど関心がない。大国が常任理事国入りすれば、小国の利害を代表するどころか、悪 影響を与えるだけである、という認識。援助やいくつかの外交カードとのトレード・オフは、もちろんどこの大国と小国の間でも裏で交わしているだろう。が、 実際の国連総会の投票は秘密投票なので、表ではG4案に賛成するという口上書を交わしたとしても、実際の投票で支持をしてくれるかどうかは、わからない。
■事務総長のG4案支持について
事 務総長が、昨年末までの安保理改革の遂行を強く押し、G4案を支持したこと(In larger freedomやHigh Level ReportでもA案としてもってくるなど)は、外交戦略的に見ても、「classic misjudgement」である。彼の周囲のアドバイザーでさえ、このタイミングで安保理改革は不可能、パッケージ案などは絶対に無理、G4案は支持す べきではない、と進言したが、事務総長は聞かず、G4支持に固執した。ワシントン側のシニカルな見方としては、事務総長はOil for Foodなどのスキャンダルの最中にいて、孤独だったため、大国の友達が欲しい心理状況だったんだろう、と話していたくらいだ。もともと、この話が始まっ たのは、2003年9月の国連総会の事務総長のスピーチからである。その年のはじめにイラク攻撃で安保理内が真っ二つに割れたこと、8月にはバグダッドで の国連事務所爆破テロで、後継者と目されていたセルジオ・デメロを失ったショックも、大きかったのだろう。ハイレベル・パネルを設置し、安保理改革を、突 然声高に言い始めた。日本がG4を結成し、積極的にキャンペーンを始めると、事務総長が支持し、各レポートでもA案として盛り込まれた。が、ワシントンが こうした動きに懐疑的冷笑的だったのは、先ほども述べたとおりである。
■Working Methodsの改革について
事務総長 は、最も難しい安保理改革から手をつけるべきだとか、パッケージ方式などという実施不可能な改革案を提案していたが、米国は簡単にできる改革から順々に進 めていく、という現実的な方針をとっている。現在、S5(スイス、リヒテンシュタイン、シンガポール、コスタリカ、ヨルダン)で進めている、安保理の Working methodsの改革から、機能性を強化していくことになるだろう。Membershipの改革は、よっぽどまた世界に何かが起きるまでは、相当先の話に なるだろう。
などなど。特に、事務総長の個人攻撃は、結構激しかった。明日は、事務総長の側近といわれる、Madam L教授にインタビューする。どうなることやら。
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
No comments:
Post a Comment